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ふと思い出すことの中に2


hakase あがり症から抜け出すのに4年の歳月がかかった人の話をします。この人は典型的なあがり症の人で、小学生の頃からとにかく人前で話したり、読んだりするのが苦手でそのまま成長したような人でした。

 教室へは子供の学校の懇談会や、そのときの自己紹介などを何とかしたいという思いで参加されました。初めは教室の実習で話すのも30秒から40秒くらいで、他の人のように3分とか5分は到底話せなかったのでした。「後から入ってくる人がどんどん話せるのに、私にはどうしても出来ない」とその人の悩みは深いものでした。

onnnanoko1 私が「過去に苦手となる何か思い当たる出来事はありませんか?」と聞いたのですが、その人は、「別にありません。多分、自分の性格的な引っ込み思案のためだと思います」とおっしゃってました。



 ともかくも4ヶ月目くらいから人並みにスピーチは出来るようになり、その後、PTA役員など人前で話す機会も出来、緊張しながらも何とか切り抜けてきました。しかし、あの言いようも無い緊張感から解放されることはなかなか無かったのです。

 最近その人は、あがり症になっていくきっかけのような出来事を思い出しました。その人が「確実にこれかなと思える」出来事は、その人が幼い頃、父から「うるさいな!頭のてっぺんから声を出すな、少しダマッてろ!」としかられていたことでした。

 間違いなくこの幼い頃の父の言葉が、この人の話す行為の抑圧となり、後のあがり症となっていく種だったのです。大人になっても消えない心の底の思いは、その人の人生に確かな力として働いているのです。

 なぜこのことを思い出すのに4年の月日がかかったのでしょうか?教室へいらした当時、この人の父が他界されたのでした。父を懐かしみ、「大切な人を悪く思いたくない」という心が働いていたからだとその人がおっしゃっていました。

 まことに人の心は微妙なのです。「父や母を悪く思いたくない」このあたりまえの心が真実を覆い隠していることだってあります。でも人は真実に触れたとき、そのことからくる苦しみから解放されます
 

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公開日:
最終更新日:2014/08/07

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