仮面の自分・・あがり症の正体

私たちは生まれてから今日までさまざまな体験をします。特に幼児期には心の根底に深く刻み込まれる体験を繰り返しています。そうした体験の中で、恐れ、不安、特に親から愛されない思いなどは、自分の心に被いをして心の闇として閉ざしてしまいます。
私たちは自分の弱点や醜さ、心の傷ついている部分もなるべく思い出さないように閉ざします。そして何事もなかったかのような顔をして日常を生きていきます。
人づき合いが苦手で、人に対して心からの親しみを感じない人は、丁寧な言葉を使ったり、慇懃無礼な物腰を身につけたりして、自分の本心を隠します。
無力感で心に満たされた思いや自信のない人は、他の人に対して攻撃的になったり、支配的になったりして自分を誇示しようとします。
これらの行為や態度は自分をもあざむく仮面の自分なのです。
特に心の触れたくない部分に関わる出来事からは、自分を守るために自己防衛を働かせます。
本当は弱くて淋しいのに、いつも冷静でしっかり者の自分を作りあげて自分にも他人にもそう思い込ませる、あるいは見栄や虚勢などで自分のコンプレックスを覆い隠す、これらはみな自己防衛機制です。

人はいつかこれをほどかないと本当の幸せや本当の悦びは得られません。
人間関係や夫婦の間でもこの自己防衛が壁となり心のつながりをさまたげています。
あがり症もこの自己防衛機制と関係がありそうです。心の底に横たわる弱さ、孤独感、無力感にフタをし、何事もないかのような日常生活から、ある日、人前に立つと決まった時、いつもの自分という仮面が取れ、自分でも恐れていた本当の自分が現われそうで、心がおびえる、これがあがり症の本体かも知れません。
普段から仮面をとるのです。自分の弱さ、傷つきやすさ、無力さをそのまま認めるのです。
自分自身をもあざむくのを止めるのです。あがり症は仮面の自分を捨て、本来の自分を見つめる絶好の機会かもしれません。
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最終更新日:2014/06/25